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夏の思い出

子供のころの夏の思い出といえばたくさんあるが、誰とどこへ出かけたとか夏ならではのイベントよりも今はもうない古い生家での思い出の方が鮮明で生々しい。

昼下がり、風通しのいい座敷の畳の上で寝転びまどろんでいると小さく畳を踏む音がする。
細く目を開けると外から帰ってきた飼い猫が台所に向かって歩いていく。
お昼を食べるのかなと思いながらまた目を閉じる。その時の肌にぺたりとつく畳の感触。
妹と祖母はすぐ眠ってしまうが、私はあまり眠れない。
つまらないから寝転んだまま座敷の真中にあったテーブルの足の角を触ったり、天板の裏側を触ったりする。
テーブルの下から隣の仏間が見える。蝉の声。

夕方、まだ暑さの残る時間、私はピアノを弾いている。
湿り気を帯びた風が吹き込んできたと思ううちにあたりが急激に暗くなってくる。
あっという間に強い雨になった。
すぐ止むとわかるから窓は閉めない。
縁側から、時には玄関口から土の色が変わっていくのを眺める。
雨粒が大きいからバタバタと音が大きい。
風で髪の毛が泳ぎ、肌がひんやりして気持ちいい。
そのうち雨が止み蝉がまた鳴き始める。
あたりは先ほどより夕方めいた色をしている。

庭のオシロイバナの花の蜜を吸うこと、ホウセンカの種を弾けさせること、マツバボタンの細かい種を触ることが楽しみだった。
庭でもクワガタが捕れたこと。
朝顔のつぼみのねじれが好きだったこと。
水を撒くために祖母が毎日井戸から水を汲み上げていたこと。
水やりが私の夏の仕事で、祖母が汲み上げた井戸水をジョウロに移して植木に水をやり最後に敷石や三和土に水を撒いたこと。
庭には毎年同じような花が咲いていた。トサカケイトウが気持ち悪かった。

プールから帰ると親の本棚から本を出して読んでいたこと。
いつも本棚に寄りかかって読んでいた。古い本の匂いと引き戸のガラスの音、ガラスに移る光と影。

雨が降ると不思議といろんなことを思い出す。
嬉しいような哀しいような、なつかしい夏の思い出。


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