福福生活next

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

ミシマ。



いやぁ~、おもしろかった!!
でも、ちっともわからなかった!

・・・矛盾してる?


椎根さんは平凡パンチの若き編集者時代、三島由紀夫の番記者だった人。
三島割腹自決までのわずか三年という短い期間ながら、三島の信頼を得、濃密な関係を築いた。
もちろん自決の謎について筆者は鋭く迫っているが、本書は自決について論ずるものではない。
「三島由紀夫」という文豪が当時どれだけスーパースターだったかを語り、その裏側で時折見せる弱気な表情を逃さずとらえている。
三島の素顔とまでは言い切れないものの、筆者にはかなり心を許している面がうかがわれる。
三島の小説に対する気持の変化、年齢とともに変わっていく思想、三島の言動の矛盾、そして自決に向かって突き進むことになったきっかけとも考えられるエピソードの数々・・・
そして、本書では三島の勘の鋭さ、感性の鋭さ、頭脳の明晰さがこれでもかと描かれている。
小説にポップアートの感覚を取り入れたこと、無名時代の坂東玉三郎や横尾忠則の才能を早くから評価していたこと、そして日本の未来の姿を予測したこと(これが非常によく当たっている)など。
そして三島の優れた知覚・視覚を「魔物」と呼んでいるのが興味深い。

筆者はこの本を書くにあたってプラトン、ベルグソン、プルースト、ユング、サルトルなど三島がかつて勉強した書物の幾冊かを読んだらしい。
その一部が本書の中でも引用文として出て来る。
私が「ちっともわからなかった」と言っているのはまさにこの偉大なる先人たちの残した論理の数々のことであり、三島の頭の中をわずかでも理解するには必要不可欠のような気がするのではあるが、何度同じ行を読み返しても理解ができなかった。
椎根さんもあとがきで「内容はまったく理解できなかった」と書いているがその分析力はすばらしい。長く編集に携わって来た人間の高い能力と底力を感じる。

何より本書に描かれた三島の魅力は‘情けなさ’にあると思う。
どんなにスーパースターと持ち上げられても、ノーベル文学賞の候補と言われても、肉体にコンプレックスを持ち、鍛え上げられた肉体を鎧に己の弱さを隠し、老醜への異常なまでの恐れを抱いていた。
そしてたくさんの矛盾や葛藤を抱えていたこと。
カッコ悪く生きることができなかった、カッコ悪くなることを許せなかった三島のカッコつけ人生の強烈な幕引き。
「他の生き方もあったかもしれないのに。ミシマはバカだよ。」
そんな思いとともに益々三島が好きになった。


コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

FC2Ad

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。