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瀧夜叉姫

陰陽師瀧夜叉姫 上 (1) (文春文庫 ゆ 2-17)陰陽師瀧夜叉姫 下 (3) (文春文庫 ゆ 2-18)
スケールもボリュームも登場人物もシリーズ最大の今作。
作者によると「映画用に考えていたアイデア」だそうで、たしかにいつもの短編より豪華版である。
なにより晴明と博雅のコンビを取り巻く脇役たちは脇役というにはあまりに個性的で魅力的。
それぞれが重要な役回りを持つ脇役たちの中にあっては、主役の二人も今回は物語の進行役みたいなものだ。
特に狂言回しを演じる蘆屋道満の存在感は大きい。


そもそも道満と晴明は本来は同質の人間であると思われる。
二人とも「都がどうなろうとかまわない」というところが本音であろう。
ただ、多くの人の血が流れることはおそらく二人の望まぬところであるはず。
役人である晴明に対して在野の道満は何のしがらみも持たず心の赴くままに暗躍する。

「陰陽師」の好きなところは単純に善悪を描かないところである。
誰の心の中にも闇がある。
その闇を育ててしまったとき人は鬼になるのだ。
晴明と博雅はそのすべてを否定せず受け止める。
今作は人が鬼に変じる様が今までになくグロテスクで残酷であったが、気味悪さより悲しさを強く感じるのは作者の人間の弱さに対する温かいまなざしがあるからか。

史実をもとに物語を描いているというものの、しっかり独自の世界観が確立されている。
平安時代の都というのは小さいながらも一つの国みたいなもので、呪(しゅ)で形成され、呪で守られた不思議な場所だ。
なぜかトールキンの「指輪物語」の世界が思い浮かんだ。
私は都に中つ国を見、将門にナズグルやサウロンを見ていた。
日本文化は西洋文化に負けずと劣らぬ豊かな精神文化があるのだなぁとあらためて感じた。

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