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胡同の理髪師

fu-ton
胡同(フートン)の理髪師」を観て来た。
北京の下町に暮らす床屋のチンおじいさんが主役だ。
チンおじいさんはプロの俳優ではない。93歳の現役の理髪師だ。
この物語はチンおじいさんの日常をドキュメンタリータッチに描いたフィクションであり、おじいさんは素人ながら立派に‘チン老人’を演じている。
おじいさんのお得意さんたちの役も本物のご近所さんだ。
映画の中で、老人たちは等身大の北京の下町の老人を演じ、それは彼ら自身の姿でもある。
日々変化する北京で、まるで時代から取り残されたように毎日同じ生活を繰り返すチンおじいさんの心温まる、そしてすこし寂しい物語。

チンおじいさんの生活は規則正しい。
毎朝6時に起床し、古い時計のネジを巻き、入れ歯を入れ、白髪に櫛を通す。
午前はお得意さんを訪ね散髪をし、髭を剃る。
午後は胡同の仲間と麻雀。
行きつけの店はモツ料理の老舗。席も決まっている。
そして夜9時になると入れ歯を外し、布団に入る。

独り暮らしのチンおじいさんは若いときには有名人にも散髪をした職人。
長年使い込んだ道具はきれいに整理され、髪を切る時のハサミと櫛を動かす手の動きは滑らかだ。
熱いタオルをお客さんの顔に乗せると手際よく剃刀を砥ぎ、石鹸を泡立て顔に塗り、ゾリゾリと小気味よい音を響かせながら、髭を剃っていく。
最後に鼻毛もチョンチョン。
髭を剃り終わった後のお客さんの気持良さそうなことといったらない。
お得意さんたちはチンおじいさんに全幅の信頼を寄せている。

店を持たないチンおじいさんは三輪自転車でお得意さんの家を訪問して散髪する。
お得意さんたちも年をとり、寝たきりの老人もいる。
そして老人たちの暮らす胡同は再開発の波にさらされ、今まさに壊されようとしている。
失われようとしている古い町並みと、「死」と向き合う老人たちが重なる。
激動の中国を生き抜いてきたチンおじいさんは、毎日毎日を精一杯生きている。
多くを求めず、逆らわず、淡々と暮らす。
その姿は凛として美しい。
それでも一人二人と友人たちが亡くなる中で、チンおじいさんはひっそりと「死」への準備を始める。
毎日5分遅れてしまう時計が残り少ないおじいさんの人生を象徴しているようで悲しい。

十数年前に北京に行ったときゴミだらけなことに驚いたが、狭く古い四合院(長屋のような建物)で小奇麗に暮らしているのが心に温かかった。
花柄のカーテン、壁の写真、使い込まれた家具、窓辺の植物の鉢、いつも湯気を上げているストーブの薬缶、カチコチと時を刻む古時計、金魚、黒猫・・・
どんなときにも胸ポケットから櫛を取り出し、白髪を整える、そんな理髪師らしいおしゃれな習慣も気持ちよかった。
都会の生活に慣れた息子世代と相対させることで、チン老人の質素ながらも心豊かな人生が描き出され、感じるものの多い映画だった。
生活の匂いのする路地が入り組む町並みと柳が揺れる湖も美しく、この風景が失われることが残念でならない。

コメント

隣県

☆くらげさん
お隣さんといっても日本海側と太平洋側。
違う海を見て暮らしているんですね~。なんだか不思議な感じ。
そちらの県には修学旅行で行ったり、家族旅行で行ったり。
先日も妹が旅行に行きましたよ。
機会があればお会いしたいですね!!

  • 2008/08/06(水) 21:24:39 |
  • URL |
  • さるる #-
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小鳥のさえずり

…なんてステキな表現♪
私は軽声の「ma?」の響きが、優しい感じがして大好き。
毎日、少しずつ聴いているけど単語(漢字)の多さにびっくりしています。中国人に、努力家が多いというのも、分かるような気がする~。
映画を観ながら書き出す…おっしゃー、真似してみますね、ありがとう。
チンさんの良さ、うんうん、予告編を観ただけで分かります。
うう…観たい。新潟まで行こうかな。
思えば、隣の県なんだよね!

  • 2008/08/05(火) 23:38:10 |
  • URL |
  • くらげ #-
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言い足りない

☆くらげさん
なんというか、チンさんがすばらしいのですよ。
表情といい佇まいといい、すごい存在感。
古きよき北京の町並みとこのおじいさんをずーっと眺めていたくなるそんな映画です。

静かな映画なためか、夏の疲れがたまっていたのか、大いびきのおじさんが近くにいたのには閉口(苦笑)

  • 2008/08/05(火) 21:36:24 |
  • URL |
  • さるる #-
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これはオススメです!!

☆くらげさん
新潟も田舎なので来ない映画はたくさんあるけれど、この映画館は映画好きの市民が出資して運営している映画館なのでシネコンで上映しないような映画が来るんです。ありがたい存在・・・
でも蚊がいたよ~。顔を蚊に刺されてツラカッタ。

中国は世界で一番行きたい国だったので、生まれて初めての海外旅行に迷わず選びました。
中国語、学生時代に習ったのと少し独学しただけなので全然話せませんよ。
でもすこーしだけ発音は聞き取れます。
内容はわからないんですよ、部分的に単語が聞き取れるだけ。
単語がなかなか覚えられないんです。
努力と熱意が足りないんだわ。
くらげさんは繰り返し中国語を聞いているから、そのうち耳が慣れてニュースで中国の要人が話す言葉なんかだと聞き取れるようになるよ。
あの人たちはゆっくりくっきり話してるから。
学校では映画を見ながらわかった単語を書き出すという授業をやったので、そういうのもいいかもしれないよ。
ついつい映画に夢中になって単語を考えるのを忘れるけど~(笑)
中国語って小鳥のさえずりみたいできれいね。

  • 2008/08/05(火) 21:30:01 |
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  • さるる #-
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故同の・・・

わーーー、ご覧になったのですね~!
いいなぁ!
さるるさんの文章で、この映画、更に観たくなりましたが
こっちは田舎なので上映されないかも…!?

さるるさんは、中国に行かれた事あるのですね!
すごい!!!話せるの?

  • 2008/08/05(火) 07:52:07 |
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  • くらげ #-
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