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本の顔

また面白い本に出会ってしまった。
作者は古本が好きな人ならご存知(?)の出久根達郎さん。
古書店主であり、作家でもある。
(直木賞を受賞していたとは今まで知らなかった)

時は江戸のいづれかの時代。
丈太郎は新米の御書物方同心。御書物方とは家康以来の徳川家代々の将軍が集めた書物を保管している部署で、家康公の霊廟がある紅葉山にあるため、その書物の数々は「紅葉山文庫」と呼ばれている。
武家の三男坊にに生まれた丈太郎は本好きであることと真面目な人柄から縁あって養子に見込まれ、世襲制である御書物方同心になった。

本を大切に保管するためにはやたらと決まりごとが多く、その一々が説明される内容が面白く、まず最初に興味を引いた。作者はもちろん古書に通じているわけで「幕府書物方日記」「御文庫始末記」「御書物方年譜覚書」という江戸時代の記録の名前があとがきに上がっている。
これらの資料から得たリアリティに人間ドラマを味付けしたのがこの本の魅力である。
そしてもう一つ。
丈太郎が懇意にする老舗古本屋との身分を越えた付き合いがいい。
ある意味、金目のものである古書が絡めば、そこには事件も起きる。
丈太郎は時には頼られ、時には頼りにし、それらの事件を解決していく。

作者の本への愛情は丈太郎という青年に表れている。
丈太郎はしばしば‘生きた本の顔が見たくなって’古書店に通う。
保管が目的の紅葉山文庫の書物たちはいわば‘死んだ本’であり、手にとって読める本ではない。
私なぞは骨董が好きなのでこの気持がよくわかる。
骨董も美術館に入ってしまえばただの美術品で、ある意味つまらない。
骨董品とはいえ、人が手で触れて、使って育ててこそ生きてくるからだ。
丈太郎という青年は真面目で本以外に趣味もなければ、女性にも興味が薄い。
しかし頭が固いわけでは決してなく、融通もきくし、相手の立場を考えて行動する思慮もある。
度胸もあって剣の腕も悪くないらしい。
それに何より爽やかだ。
職場の同僚、上役、養父、古書店主たち等々も個性豊かで魅力的。
シリーズ3冊をあっという間に読んでしまった。
早く続きが出てほしいものである。

御書物同心日記 (講談社文庫)

続 御書物同心日記 (講談社文庫)

御書物同心日記―虫姫 (講談社文庫)

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